同棲相手の連れ子の置き去り

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弁護士の佐藤です。

 

さて、本日も刑法に関する判例のご紹介ですが、本日も遺棄罪についての判例をご紹介します。

 

事案ですが、被告人が女性と同棲を開始して数日後、女性の連れ子(3歳)を、邪魔になるとして、東名高速道路路肩に放置し遺棄したというなんとも冷血な事件です。

 

そして、この事案の争点は、3才の幼児を連れた女性と同棲を開始し、数日とはいえ共同生活を営んだ男性は、条理上ないし社会通念上、右幼児を保護すべき責任を有するといえるかというものです。

 

この点、昭和48年3月9日東京地裁判決は、

 

「判示のような事実関係のもとにおいて被告人・・と同棲関係に入つてすでに数日とはいえ共同生活を営んでいる・・は、右・・の連れ子である・・に対し、条理上ないし社会通念上これを保護すべき責任を有するに至つたと解するのが相当である。ちなみに、右の判断にあたつては被告人両名の同棲が、弁護人の主張するような一時的な野合ではなく、同棲を開始した後の日こそ浅いが将来の婚姻を前提とした、いちおう永続的な関係であると考えられること、幼児を連れた女性が新たな男性と結婚したというだけでは、右幼児と男性との間には、法律上当然には親子関係を生じないけれども、右幼児を施設その他の第三者に預ける等特段の措置を講ずることなく、右幼児を含めて新たな共同生活を始めた場合においては、社会的にも、右夫婦と子供を含めた全体が一個の家族として扱われ、右幼児と男性との間の関係は、いわゆるまま父・まま子の関係として正規の親子関係に準じたものとみるのが一般であること等の諸点が参照されるべきである。」

として、被告人に保護責任者遺棄罪の成立を認めました。

 

刑法218条の保護責任は、法律上の責任でなければならないのですが、その根拠は、直接法令の規定によると、契約によると、事務管理によると、または条理によるとを問わないとされ、本件もこれまでの判例と同様に、事実関係から保護責任者を認定したものといえます。

 

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