労働問題8~退職金について~

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弁護士の佐藤です。

今回は、退職金に関する問題についてお話します。

法的権利としては、退職金は、通常、就業規則の退職金規定等に支給に関して具体的に定められています。

では、この退職金規定を不支給ないし減額する条項があった場合、その条項は有効といえるのでしょうか。

この点、大阪高裁昭和59年11月29日判決は、「控訴人は、被控訴人らが控訴人の摂津営業所の責任者であつて同営業所の運営の衝に当たつていたところ、突如として退職届を提出し、その後は右営業所の運営を放置して残務整理をせず、その後任者に対しても何らの引継をしないまま退職するなどの行為をしたものであるから、右は退職金の不支給を肯認させる永年勤続の功労を抹消するに足る不信行為に該当し、控訴人には被控訴人らに対し退職金を支給すべき義務がない旨主張する。仮に、被控訴人らにおいて退職に際し控訴人主張に係る右のように行為があつたとしても、その行為は、責められるべきものであるけれども、末だもつて労働者である被控訴人らの永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為に該当するものと解することができないから、控訴人の右主張は採用することができない。」

つまり、判例は、退職金不支給(減額)条項については、有効を前提に、「永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為」があったかどうかを問題にしています。

そうすると、仮に労働者を懲戒解雇した場合であっても、それが、直ちに退職金を支払わなくていいということにはならず、懲戒解雇自体が有効であっても、さらに、「永年勤続の功労を抹消してしまうほどの不信行為」があったかどうかで、退職金を不支給ないし、減額することが決まるということになります(東京高裁判決平成15年12月11日など参照)。

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