労働問題7~管理監督者について~

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弁護士の佐藤です。

今回も労働問題のうち、賃金に関するお話を。

今回は、管理監督者についてです。

労働基準法上、「事業にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」いわゆる「管理監督者」は、時間外手当に関する規定の適用から除外されます(労働基準法41条)。

時間外手当に関しては以前お話しましたが、管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきとされています。

この点で問題となるのが、フランチャイズ・チェーンの形態で多数の店舗を展開する企業において、いわゆる「店長」がこの管理監督者にあたるかです。店長という肩書があっても、実質的には一般の労働者と変わらないにも関わらず、管理監督者に該当するという理由で時間外手当を支払われず、低賃金で過酷な労働を強いられるという問題が発生するようになりました。

この点、東京地裁平成20年1月28日判決は、①店長の権限がどこまであったか、②店長の勤務態様がどうであったか、③店長に対する処遇がどうであったかなどの要素を総合的に考慮して、判断しています。なお、上記判決は、ハンバーガーショップの店長が、管理監督者にあたるかどうかについて、①については、「店長は、アルバイト従業員であるクルーを採用して、その時給額を決定したり、スウィングマネージャーへの昇格を決定する権限や、クルーやスウィングマネージャーの人事考課を行い、その昇給を決定する権限を有しているが、将来、アシスタントマネージャーや店長に昇格していく社員を採用する権限はないし(クルーが被告に入社を申し込む場合に、店長が,当該クルーの履歴書にコメントを記載することはある)、アシスタントマネージャーに対する一次評価者として、その人事考課に関与するものの、その最終的な決定までには、OCによる二次評価のほか、上記の三者面談や評価会議が予定されているのであるから、店長は,被告における労務管理の一端を担っていることは否定できないものの、労務管理に関し,経営者と一体的立場にあったとはいい難い。」などとして、②については、「店長は,被告の事業全体を経営者と一体的な立場で遂行するような立場にはなく、各種会議で被告から情報提供された営業方針、営業戦略や、被告から配布されたマニュアルに基づき、店舗の責任者として、店舗従業員の労務管理や店舗運営を行う立場であるにとどまるから、かかる立場にある店長が行う上記職務は、特段、労働基準法が規定する労働時間等の規制になじまないような内容、性質であるとはいえない。」などとして、最後に③については、「店長の週40時間を超える労働時間は、月平均39.28時間であり、ファーストアシスタントマネージャーの月平均38.65時間を超えていることが認められるところ、店長のかかる勤務実態を併せ考慮すると、上記検討した店長の賃金は、労働基準法の労働時間等の規定の適用を排除される管理監督者に対する待遇としては、十分であるといい難い。」などとして、ハンバーショップの店長を管理監督者として認めませんでした。

なお、本判決後、厚生労働省は全国の労働局長に対し、管理監督者の取扱いについて適切な監督指導等を求める通達を発しています(「管理監督者の範囲の適正化について」平20.4.1基発0401001号)。

 

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