労働問題6~労働時間について~

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弁護士の佐藤です。

今年もいつの間にか、残りわずかとなりました。この時期はバタバタしますね・・・。

今回も労働問題についてですが、前回の賃金に続いて、今回も賃金に関することを。

今回は、賃金の基礎となる労働時間についてです。そもそも、労働時間とはどのような状態のことをいうのでしょうか?

通常、労働契約や就業規則などでは、労働時間の定めがあり、何時から何時までと決まっています。しかし、それ以外の時間でも、労働と評価される場合もあるといえるでしょう。

この点、最高裁は、〇社に雇用され造船所において就業していた従業員らが、始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するなどと主張して、〇社に対し、着脱等に要した時間について割増賃金の支払を求めた事件において、労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない旨判示しました(最高裁平成12年3月9日判決)。

つまり、労働契約や就業規則等の定めが決定的な基準になるのではなく、労働者の好意が使用者の指揮命令下に置かれていたか否かが重要なファクターになるのです。

なお、上記事案では、最高裁は、「上告人らの休憩時間中における作業服及び保護具等の一部の着脱等については、使用者は、休憩時間中、労働者を就業を命じた業務から解放して社会通念上休憩時間を自由に利用できる状態に置けば足りるものと解されるから、右着脱等に要する時間は、特段の事情のない限り、労働基準法上の労働時間に該当するとはいえず、各上告人が・・・各行為に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当するとはいえない。」としています。

ここで、最高裁がいう特段の事情が問題とどのような場合かが問題となるのでしょうが、使用者から装着を義務付けられた保護具等を装着したままの状態では社会通念上休憩時間を自由に利用できる状態に置かれたとはおよそいえないような場合、具体的には、作業服及び保護具等の内容、着脱に要した時間等如何によっては、特段の事情にあたるとして、労働時間に含まれるものと考えられるのでしょう。

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