労働問題4~採用内定取消について~

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弁護士の佐藤です。

さて、本日も労働問題についてですが、本日は、ちょっと前にマスコミを賑わした採用内定の取消しについてです。

一般に、新規学卒者を採用する場合、企業が労働者を募集し、新規学卒者がこれに応募し、企業が選考を行って採用を決定した者に採用内定を通知し、その後、誓約書の提出や健康診断等を経て、入社日に辞令を出すというプロセスを通ります。

では、企業と採用予定者との間では、どの時点で労働契約が成立したといえるのでしょうか?採用内定の通知の段階でしょうか、入社日でしょうか?

この点に関しては、採用内定の通知のほかに、あらためて労働契約を締結するための手続が予定されていない場合には、企業の労働者募集に学卒予定者が応募することが労働契約の申し込みであり、企業が採用内定を通知することはこの労働契約の申し込みに対する承諾であるとみて、採用内定通知の段階で労働契約が成立すると考えられています。

しかし、これには条件がつきます。始期付解約権留保付の労働契約と言います。

難しい言葉だと思いますが、始期付きというのは、採用内定の時点から労働契約の効力は生じており、就労の始期が入社日とされている場合(就労始期付き)と、採用内定の時点では労働契約の効力が生じておらず、労働契約の効力発生の始期が入社日とされている場合(効力始期付き)とがあり、これは当事者の合意の内容で決まります。

次に、解約権留保付きというのは、労働契約は成立しているものの、採用内定通知書または誓約書等に記載されている採用内定取消事由が生じたときは労働契約を解約できるという合意が含まれているというものです。

採用内定の取消しは、この留保された解約権の行使がいかなる場合に許されるのかということになります。

この点、最高裁は、「採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当である。」(昭和54年7月20日判決)としています。つまり、解雇権の濫用の事例同様に、一定に制限をしているのです。

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