労働問題3~解雇権の濫用について~

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弁護士の佐藤です。

前回は整理解雇についてお話しましたが、本日は、会社解雇権の濫用についてお話します。

通常、会社の就業規則等には、従業員を解雇できる解雇事由が記載されています。

では、就業規則に記載された事由に該当した行為を行った従業員を、会社は直ちに解雇することはできるのでしょうか。

この点、最高裁は、「上告会社は、被上告人の右行為は就業規則所定の懲戒事由に該当するので懲戒解雇とすべきところ、再就職など将来を考慮して、普通解雇に処した、というのであり、なお、上告会社の就業規則一五条には、普通解雇の定めとして、『従業員が次の各号の一に該当するときは、三〇日前に予告して解雇する。但し会社が必要とするときは平均賃金の三〇日分を支給して即時解雇する。ただし労働基準法の解雇制限該当者はこの限りでない。一、精神または身体の障害により業務に耐えられないとき。二、天災事変その他已むをえない事由のため事業の継続が不可能となったとき。三、その他、前各号に準ずる程度の已むをえない事由があるとき。』と定められていた、というのである。右事実によれば、被上告人の前記行為は、就業規則一五条三号の普通解雇事由にも該当するものというべきである。しかしながら、普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるものというべきである。」(最高裁昭和52年1月31日判決)としています。

つまり、解雇事由があっても、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるとしているのです。

その後、立法でも、労働基準法第18条の2において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」というものができ、現在は、労働基準法が削除され、労働契約法に移行されています。

解雇権は使用者側が持っているものですが、むやみに使われると労働者の生活が直に脅かされるわけであり、使用者に対して解雇するに足りる十分な理由が求められるわけです。

なお、上記判例では、放送局のアナウンサーが、寝過しにより2週間に2度も朝の提示ニュースを放送できなかったため解雇された事案で、当該解雇を無効とした原審判決を支持しています。

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