労働問題25~請負と安全配慮義務~

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弁護士の佐藤です。

さて、本日も安全配慮義務に関するお話です。

本日は安全配慮義務がどこまで及ぶのかとういう適用範囲のお話です。

会社の従業員に対しては当然ですが、事業の形態としては、会社が注文した請負業者やその従業員も現場等に出入りしているものもあります。

では、会社が負う安全配慮義務は、請負業者の従業員にも及ぶのでしょうか?

この点、労働契約法5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」としています。そうすると、労働契約がない請負業者の従業員には、安全配慮義務が及ばないとも考えられます。

しかし、判例は、「安全配慮義務は、ある法律関係に基つき特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務であり、必ずしも直接の雇用契約関係を必要としないと解され、一審被告三社と本件下請従業員との間に上記特別な関係が認められる場合には、一審被告三社は下請企業の従業員であった本件下請従業員に対しても安全配慮義務を負うこととなる。」(福岡高裁平成13年7月19日判決)としています。

つまり、形式面よりも、実質面を重視し、請負業者の従業員が、発注者である会社の実質的な支配従属関係にあるか否かを重要視しているのです。

では、具体的にどのような点を重視するかというと、最高裁は、「上告人の下請企業の労働者が上告人の・・造船所で労務の提供をするに当たっては、いわゆる社外工として、上告人の管理する設備、工具等を用い、事実上上告人の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も上告人の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであったというのであり、このような事実関係の下においては、上告人は、下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、右労働者に対して安全配慮義務を負うものであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。」(最高裁平成3年4月11日判決)とし、会社の従業員と同視できる仕事内容、環境であったかどうかという点で判断しています。

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