労働問題24~安全配慮義務と履行補助者の注意義務について~

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弁護士の佐藤です。

安全配慮義務についてしばらくお話していますが、安全配慮義務は、業務の遂行が安全になされるよう業務管理者として予見可能な危険等を排除できる人的物的諸条件等を整えることで尽くされるのでしょうか。

この点、最高裁では、上記義務に加え、しようしゃの支配管理を受けて業務に従事する、いわゆる履行補助者が業務遂行上危険の発生を防止するために尽くす注意義務もその内容となるかが問題となりました。

最高裁の事案は、自衛隊の航空機の機長が出張先から隊員を同乗させて自隊へ帰る途上、同機の位置の不確認等により正規の航空路を外れて航行するなど操縦者において航空法その他の法令等に基づき当然に負うべき通常の注意義務を怠ったことによって同機を山腹に激突させ、同乗者を死亡させたという事案です。

そして、最高裁は、「国が公務員に対して負担する安全配慮義務は、国が公務遂行にあたつて支配管理する人的及び物的環境から生じうべき危険の防止について信義則上負担するものであるから、国は、自衛隊員を公務の遂行として自衛隊機に搭乗させる場合には、右自衛隊員に対する安全配慮義務として、構造上の欠陥のない航空機を航空の用に供し、かつ、その整備を十全にして航空機自体から生ずべき危険を防止するとともに、航空機の操縦士としてその任に適する技能を有する者を選任配置し、かつ、斎切な航空交通管制の実施等につき配慮して航空機の運航から生ずる危険を防止すべき義務を負うが、操縦者において航空法その他の法令等に基づき当然に負うべきものとされる通常の操縦上の注意義務及び国において前示の人的・物的諸条件の整備とは無関係に搭乗員を安全に輸送すべきものとする所論の義務は、右安全配慮義務に含まれるものではないと解すべきところ(最高裁昭和五五年(オ)第五七九号同五八年五月二七日第二小法廷判決・民集三七巻四号四七七頁参照)、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、右と同旨の見解に基づき、本件事故は本件自衛隊機の操縦士の通常の操縦上の注意義務違反によつて発生したものであつて、被上告人に安全配慮義務違反はない」(最高裁昭和58年12月6日判決)としました。

つまり、安全配慮義務の履行補助者が法令上当然に負う注意義務は使用者の安全配慮義務の内容には含まれないということです。

安全配慮義務の限界事例といえるでしょう。

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