労働問題17~労災保険における「労働者」について~

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弁護士の佐藤です。

本日も、前回に続いて、労災保険に関する話題を。本日は、労災保険の適用を受ける労働者の範囲について、簡単にお話します。

労災保険法にいう労働者については、同法に定義規定はありませんが、判例上、労災保険法の労働者とは、労働基準法に規定する労働者と同一であるとされています(大阪地裁平成15年10月29日判決)。

そして、労働基準法上の労働者については、同法9条で「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と定めています。

使用される者とは、使用者との使用従属関係の下に労務を提供する者をさし、また賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうとされています(同法11条)

では、会社の取締役は労働者といえるのでしょうか。

この点、会社と取締役の関係は、法律上委任の関係にあり、事業主体との関係においては使用従属の関係にないため労働者には該当しません。もっとも、会社の取締役であっても、代表権をもたない者が工場長や部長として代表取締役の指揮監督下に労働に従事し、その対価として賃金の支払いを受けている場合は労働者とする判例もあります(大阪地裁平成15年10月29日判決)。つまり、肩書よりも実態を重視することになるでしょう。

また、パートやアルバイト、契約社員といった方々も労災保険の適用対象になりますし、労働者の国籍も問いません。

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