労働問題16~労災保険について~

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弁護士の佐藤です。

本日も労働問題についてですが、今回からしばらく労働災害についてお話していこうかと思います。

本日を労働災害の初回ということで、労災保険についてお話します。

労災保険とは、労働者災害保険法に基づく制度で、業務上災害又は通勤災害により、労働者が負傷したり、疾病にかかったり、障害が残った場合、死亡した場合等について、被災労働者、又はその遺族に対し所定の保険給付を行う制度です。

本来、労働者が業務によって被災した場合には、被災労働者や遺族は、民法上の債務不履行や不法行為に基づき、会社に対して損害賠償請求をすることができます。しかし、民事上の過失責任主義の原則から、債務不履行や不法行為は会社の過失(注意義務違反)の立証が必要であり、それと災害との因果関係の立証も必要になります。

しかし、実際は、上記立証は容易ではありません。そこで、労働基準法の労災補償制度は、こうした困難性を克服し、労働者の保護を図るものとして、労災保険制度が制度化されました。

労災補償制度の特色は、まず、業務上の災害に対する会社の無過失責任であること、次に財産的損害のみを対象とし、精神的損害は対象とならないこと、さらには、損害の全額ではなく、一定割合を補填するものであることがあげられます。

具体的な補償としては、療養保証、休業補償、打切補償、障害補償、遺族補償、分割補償、葬祭料などです。

労働基準法が労働災害について使用者に無過失責任の賠償責任を認めた点では被災労働者の保護に寄与しますが、使用者に支払能力、つまり、損害額を支払う能力がなければ意味がありません。そこで、労働基準法の制定と同時に、使用者の災害補填責任の実効性を確保するために、労働災害補償保険法が制定されたのです。

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