労働問題12~配転について~

024

弁護士の佐藤です。

早いもので、1月もすでに半ばになりました。

さて、本日も労働問題に関することですが、本日は「配転」についてです。

配転とは、労働者の配置であって、職務内容または勤務場所が相当の長期間にわたり変更されるものを言います。

上記のとおり、長期間にわたり勤務場所が変更になるため、場合によっては、労働者に単身赴任を強いるなど、家庭環境の変化をもたらすため、労働者からみれば、非常に困ることも予想されますが、会社側からすれば、個々の労働者の事情を尊重し続けるわけにもいけません。

そこで、会社が行う配転命令に限界がないのかということが問題になります。

まず、雇用契約上、職務内容や勤務場所が限定されている場合には、それに反する配転は契約違反になるため、そもそも問題になりません。

では、雇用契約上、職務内容や勤務場所が限定されていない場合はどうでしょうか。無制限に会社は配転命令を出すことができるのでしょうか。

この点、最高裁は、配転の有効性について一定の基準を上げています。

つまり、「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもつてなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもつては容易に替え難いといつた高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。」としました(最高裁昭和61年7月14日判決)。

すなわち、①業務上の必要がない場合や、業務上の必要性があっても、②著しい職業上又は生活上の不利益がある場合、③不当な動機・目的のある場合には、当該配転命令は権利の濫用として無効となるわけです。

なお、上記最高裁は、具体的な事案において、「本件についてこれをみるに、名古屋営業所の・・・主任の後任者として適当な者を名古屋営業所へ転勤させる必要があつたのであるから、主任待遇で営業に従事していた被上告人を選び名古屋営業所勤務を命じた本件転勤命令には業務上の必要性が優に存したものということができる。そして、前記の被上告人の家族状況に照らすと、名古屋営業所への転勤が被上告人に与える家庭生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のものというべきである。」として、権利の濫用にあたらないとしました。

これまでの判例では、上記①②について、権利の濫用にあたらないという傾向にありましたが、平成13年に育児・介護休業法が改正され、労働者の転勤に際しては、その子の教育又は家族の介護の状況に配慮すべき義務が設けられた関係で、今後は権利乱用と認められる場合もある可能性が増えるかもしれません。

ページの先頭へ