労働問題11~有給休暇に関する問題②について~

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弁護士の佐藤です。

本日も前回に続いて、有給休暇に関する問題についてお話します。

有給休暇は、労働者の権利であり、勤務期間によっては、年20日、時効の問題も含めれば、場合によっては、最大40日の有給休暇を利用することができることは前々回お話しました。

しかし、これに対する会社の対応としては、時季変更権というものがあることも前回お話しましたが、いきなり連続して40日の休暇を請求されては、会社としても業務に支障がでる場合も予想されます。

そこで、今回は、このような長期の有給休暇の取得が許されるのか、会社はまったく拒否することができないのかということを考えたいと思います。

この点に関しては、最高裁は、「労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合においては、それが長期のものであればあるほど、使用者において代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど事業の正常な運営に支障を来す蓋然性が高くなり、使用者の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるのが通常である。しかも、使用者にとっては、労働者が時季指定をした時点において、その長期休暇期間中の当該労働者の所属する事業場において予想される業務量の程度、代替勤務者確保の可能性の有無、同じ時季に休暇を指定する他の労働者の人数等の事業活動の正常な運営の確保にかかわる諸般の事情について、これを正確に予測することは困難であり、当該労働者の休暇の取得がもたらす事業運営への支障の有無、程度につき、蓋然性に基づく判断をせざるを得ないことを考えると、労働者が、右の調整を経ることなく、その有する年次有給休暇の日数の範囲内で始期と終期を特定して長期かつ連続の年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する使用者の時季変更権の行使については、右休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、右休暇の時期、期間につきどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ない。もとより、使用者の時季変更権の行使に関する右裁量的判断は、労働者の年次有給休暇の権利を保障している労働基準法三九条の趣旨に沿う、合理的なものでなければならないのであって、右裁量的判断が、同条の趣旨に反し、使用者が労働者に休暇を取得させるための状況に応じた配慮を欠くなど不合理であると認められるときは、同条三項ただし書所定の時季変更権行使の要件を欠くものとして、その行使を違法と判断すべきである。」としました(最高裁平成4年6月23日判決)。

つまり、会社側にも都合があるので、一定の裁量権を会社側に認めているわけです。

実際には長期かつ連続した年次有給休暇を労働者が希望する場合には、あらかじめ会社の内部規定で一定日数以上前に上司に申し出ることや、公休日を年次有給休暇所得希望日に振り替える対応を行うことがある旨を定めておくということになるのでしょう。

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