労働問題10~有給休暇を巡る問題①~

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弁護士の佐藤です。

さて、今年も法律問題についてブログをしていきたいと思います。

今年最初のお話ですが、前回、有給休暇の制度についてお話しましたが、今回はその続きとして、有給休暇にまつわる問題をお話したいと思います。

有給休暇は、法律上の労働者の権利でることは前回お話したとおりですが、これに対する会社の権利として、時季変更権というものがあります。

時季変更権とは、使用者は、労働者の請求する時季に有給休暇を与えると事業の正常な運営を妨げる場合に限り、例外的に他の時季にこれを与えることができるという会社の権利のことを言います。時季変更権の行使の可否の判断は最終的には裁判所が行うもので、労働基準監督署では裁判上、通らないと思われるような理由を会社がつけて時季変更権を行使した場合でも、勧告等で会社に年次有給休暇を取らせるよう指示することはできません(民事不介入)。

時季変更権の行使要件は「事業の正常な運営を妨げる場合」であり、単に業務多忙という理由では行使はできません。代替勤務者の確保や勤務割を変更するなどの努力せずして時季変更権の行使は許されないとされています(最判昭和62年9月22日判決)。必要があれば、年度を超えての変更や、時間単位での請求に対する変更もできますが、日単位での請求に対して時間単位に変更したり、時間単位での請求に対して日単位に変更することはできません。

使用者に与えられている時季変更権は、文字通り有給休暇を与える時季を変更することができる権利であって、労働者からの有給休暇の取得請求そのものを拒否できる権利ではありません。ストライキの例を除き、使用者には一切の拒否権がないので、労働者に対する有給休暇の付与を拒否することはできず、労働者の請求により発生した与えるべき有給休暇を後から取り消す余地も当然にありません。

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