刑事事件14~損害賠償命令制度について~

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弁護士の佐藤です。

前回は、犯罪被害者の立場からみた制度として被害者参加制度についてお話しましたが、今回も、犯罪被害者の立場からみた手続として、損害賠償命令制度について簡単にお話したいと思います。

刑事事件で被告人が有罪となったとしても、刑事事件と民事事件はまったく異なるため、それによって、被害回復がなされるわけではりません。被害回復をはかるためには、刑事事件とは別に、民事裁判を起こし、その中で損害賠償請求等をしなければいけません。

しかし、民事事件は、当然、時間がかかります。

そこでできたのが損害賠償命令制度です。

これは、刑事裁判で、一定の対象犯罪について有罪判決が言い渡された後に、判決を言い渡した刑事裁判所がそのまま損害賠償命令の申立について審理して、損害賠償を命じる判決を出す制度です。

検察官が起訴(裁判を起こすこと)から弁論(審理の終結)までの間に裁判所に申し出る必要があります。

この制度では、刑事裁判と同じ裁判官がそれまでの刑事裁判の結果(証拠書類やや証人尋問、被告人質問など)を利用して、民事上の損害賠償についても判断してくれます。そのため、もう一度はじめから民事裁判を起こす必要がないので、民事裁判を起こすことによる費用や労力、時間を節約することができますので、被害者にとってはメリットのある制度です。

裁判の期日についても、4回以内の審理期日で終わらなければならないとされていますので、通常の民事裁判と比べると審理期間も短いと言えます。

ただし、裁判所が下した決定に不満がある場合は異議を申し立てることができ、異議申立があった場合は、地方裁判所または簡易裁判所に通常の訴えがあったものとみなされて、通常の民事訴訟に移行します。また、4回以内の審理期間で審理の終結ができない場合も、通常の民事訴訟手続に移行します。

では、次回は、同様に被害回復を図る制度として、被害回復給付金制度についてお話します。

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