交通事故問題6~過失割合について~

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弁護士の佐藤です。本日は、交通事故問題の最後になります。

本日お話するのは、過失相殺についてです。

これまで述べてきましたが、不幸にも交通事故に遭った場合、治療費や休業損害、逸失利益、入通院慰謝料等の損害が発生します。しかし、これらの損害が発生したとしても、常にその全額を受け取れるというというわけではありません。交通事故が発生した大方の原因が加害者側にあるとしても、被害者にも一定の落ち度があった場合、損害の合計額から被害者の落ち度分だけ損害額から差し引かれてしまうというものが過失相殺というものです。

そして、加害者の落ち度がどれくらいで、被害者の落ち度がどれくらいかを認定する作業が過失割合というものです。

例えば、交通事故の原因の8割は加害者が悪いけど、2割は被害者にも落ち度があると言った場合、被害者に治療費や慰謝料などの損害500万円は発生しても、2割は過失相殺によって引かれてしまうので、実際受け取れる金額は、400万円ということになります。

では、この過失割合というのはどうやって認定するのでしょうか?

交通事故の類型は様々ですが、一定の分類をすることは可能です。例えば、信号機のある交差点での事故なのか、信号機のない交差点での事故なのか、正面衝突の事故なのか、追突事故なのか等です。

そこで、「別冊判例タイムズ民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」と言った本や、これまで述べてきた「赤い本」を基準に認定します。これは、過去に起こった同じようなケースの交通事故の裁判例を参考に、類型ごとに過失割合を決めています。

例えば、Aさんが運転する車両が、路外から道路に侵入するために右折しようとした際に、道路を直進してBさんが運転していた車両とぶつかって交通事故をおこしたという場合、この場合の基本的な過失割合は、A80%、B20%となります。これは、Aさんが左折をしようとしたときでも同じです。

もっとも、この割合が絶対的な基準になるわけではありません。修正要素というものがあります。

例えば、Aさんが、すでに車両の頭を出して待機していた場合や、すでに右折状態にあったという場合は、A70%、B30%に修正されます。

また、信号機のある交差点において、青信号をAさんが直進し、赤信号をBさんが直進したために事故が起こったという場合、Bさんは信号無視をしたのですから、過失割合はA0%、B100%となります。しかし、ここでも修正要素はあります。例えば、Aさんが30km以上の速度超過があった場合など、Aさんに重過失(落ち度が重い場合)がった場合には、Aさんに20%の加算修正がなされます。

さらに、同様に、信号機のある交差点で、Bさんは赤信号であったが、Aさんが交差点に差し掛かったとき、信号は黄色になっていたという場合、基本的な過失割合は、A20%、B80%ですが、Aさんが交差点に侵入した直後に信号が赤に変わった場合には、Aさんに10%の加算修正がなされます。

上記のとおり、交通事故には、基本的な過失割合と、修正要素というものがあるのですが、実際の交通事故がどうであったかというのは、つまり、上記の路外から道路に侵入する際の事例で、Aさんの車両が本当に頭をだして待機していたのかどうかということをどうやって証明するのでしょうか。

裁判になって、Aさんが一方的に主張しても、裁判では勝てません。

この場合、交通事故直後に警察が作成する実況見分調書というものが実務的には最も重視されているといえます。したがって、交通事故が起きてしまったら、しっかりと警察官に自分の言い分を伝えておかなければ、事実と異なる実況見分調書ができてしまい、後々の過失割合の交渉や裁判が不利になってしまいます。

実務において、過失割合というものは非常にやっかいです。

交通事故の相談を受けると、被害者の方が、どうして自分に落ち度があるのかと疑問に思っている方も沢山おりますし、お気持ちは大変よくわかります。

過失割合は、上記のとおり類型ごとに基本割合は決まっておりますが、あくまでも一定の目安であり、本当は、事故の状況を細かく検証して判断していくべきものです。

これまで散々お話してきましたが、保険会社から示談金の提示があった際は、こんなんものかと安易に納得せず、専門家に一度ご相談してみてください。

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