不動産に関する問題6~敷金について~

Jellyfish

弁護士の佐藤です。

本日は、不動産に関するトラブルの中でも、相談の多い敷金についてお話しようかと思います。

不動産、例えば、アパートを借りる際には、ほとんどの場合、借主さんは、貸主さんに敷金というものを渡すのではないでしょうか。

そして、この敷金は、賃貸借期間が終了し、アパートを返す際に、原状回復費用を引いたものが返ってくることになると思います。

しかし、この原状回復費用が、借主からみたら、予想以上に高額で、思っていた金額の敷金が返ってこないというものが、敷金に関する相談のほとんどです。

原状回復費用といっても、借り始めた状態に戻さなければならないというわけではありません。賃貸借契約というのは、貸主が目的物を借主に使用収益させる義務があります。そして、賃貸借の場合、当然ですが、その使用収益させる期間は、ある程度継続されることを予定しています。

借主は、物を使用収益することの対価として、賃料を支払っています。したがって、通常の使用によって生じる程度の損耗(通常損耗)は、賃料によってまかなわれているのであり、借主ではなく、貸主が責任を負うことになるのです。

実務では、この通常損耗にあたるかどうかが争いになります。つまり、貸主の方が、通常損耗までも原状回復費用も含めて、敷金返還の金額を決めてしまっているのではないかということです。

悪質なケースでは、貸主が、何らの明細を出さずに、原状回復費用の金額だけを提示して、敷金を返還しないというものもあります。

原状回復費用については、必ず明細をだしてもらうべきです。また、紛争を予防するという意味では、借りるとき、そして返すときに、貸主などの立ち会いのもと、部屋の様子をよく観察し、気になるところは写真を取っておくべきです。

なお、この通常損耗を借主におわせる契約を締結することができるかという問題もあります。

この点は最高裁の判例があります。最高裁は、「賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である」としています(最高裁平成17年12月16日判決)。

つまり、最高裁は、通常損耗を借主に負わせる特約自体は有効としておきながら、貸主側に一定の説明責任を課しているのです。

敷金の返還に関しては、悪質な業者もよく耳にします。前述の予防策に加え、納得できないとお考えの方は、まずは弁護士などの専門家のご相談ください。

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