不動産に関する問題1~手付について~

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弁護士の佐藤です。

さて、本日から、またテーマを変え、不動産に関する問題についてお話していこうかと思います。

そして、本日は、手付についてです。私が不動産に関するトラブル専門の法律相談を担当している関係で、不動産に関するトラブルの話はよく聞くのですが、その中でも、手付に関する問題が多いです。

例えば、不動産の建築請負契約を締結する際、契約締結時に、注文者が請負人に手付金を支払うのが一般的です。手付には、証約手付、解約手付、違約手付の3種類があるのですが、一般的には解約手付としての意味をもちます。

この解約手付とは、請負人が履行に着手するまでは、注文者が請負人に、支払った手付金を放棄、つまり、返還請求しないかわりに、または、請負人は、受け取った手付金の倍額を注文者に返還することにより、売買契約を解除できるというものです。

では、履行に着手とはどういった状態のことをいうのでしょうか?

履行に着手とは、履行行為自体に着することで、履行の準備に着手することではありません。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、最高裁は、「客観的に外部から認識できる形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」をさすとしています。

例えば、請負でいうなら、請負人の建築の着手、不動産売買でいえば、所有権移転登記などが履行の着手といえ、反対に、測量や目的の不動産の抵当権の抹消などは、履行の準備にすぎず、履行の着手とはいえません。また、買主や注文者がローンの申込をするという行為も履行の着手とはいえません。

なお、手付とは別に、申込証拠金というものもあります。これは、契約が成立する前に、対象物件を優先的に購入できる権利を確保するために、金銭を預けるもので、契約が成立していないという点、手付と異なります。したがって、契約が成立していない以上、撤回は当然可能で、申込証拠金の返還も求めることができます。

不動産売買に関する契約書は非常に複雑で、専門用語も多く、中には買主や注文者に不利な条項があったり、知識がないことをいいことに、強引に売買契約の締結をせまる業者の話もよく聞きます。

不動産の売買は、当然、金額も高額で、一生の買い物になるものです。そして、不動産に限らず、契約書というものは、裁判などになると、一番重要な証拠になります。

売買契約を締結する際には、是非契約書を慎重にチェックし、疑問やわからないことがあったら、専門家に相談してください。

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