不動産に関する問題12~通行をめぐる紛争②について~

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弁護士の佐藤です。

本日は、前回に続き、通行をめぐる紛争のうち、通行地役権について簡単にお話します。

地役権とは、他人の土地を自己の便益のために利用するための権利をいい(民法280条)、通行地役権は、その中でも、他人の土地を自分の土地のため、通行することを目的とする権利を言います。

他人の土地を利用する権利という意味では、前回お話した囲繞地通行権に似ています。しかし、通行地役権は、自己の便益のために利用するための権利であることから、囲繞地通行権のように、袋地である必要はありません。

もっとも、囲繞地通行権は、袋地であれば当然に認められる権利であるのに対し、原則として、当事者の合意が前提となります。それでも、当事者間の話し合いなので、囲繞地通行権のように、通行の範囲は、必要最小限である必要もなく、自由に通行する場所や方法を決めることができます。

しかし、通行地役権の特徴は、当事者間の明確な合意がない場合が多いといえます。何らの取り決めがないまま、長年通行してきたというようなケースがみなさんも多いといえるのではないでしょうか。

その場合、明確な合意、例えば契約書などがなくても、黙示の合意があるかないかが問題となります。

この点に関しては高裁判例において、「黙示の契約を認めるためには通行の事実があり、通行地の所有者がこれを黙認しているだけでは足りず、さらに、所有者が通行地役権または通行権を設定し法律上の義務を負担することが客観的に見ても合理的であると考えられるような特別な事情が必要である」(東京高裁昭和49年1月23日判決)としています。

したがって、単に黙認だけは足りず、使用者や所有者の使用状況などを総合的に判断して決めることになるでしょう。

最後に、通行地役権は、当事者の明示または黙示の合意により成立しますが、時効によっても成立する場合があります。

この点は、民法283条に規定があり、時効による地役権の取得のためには、継続的に行使され、かつ外形上認識できることが必要となります。

この継続性の要件ですが、最高裁は、通行地役権の時効取得の場合、①承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、②その開設は要役地所有者によってなされることを要するとしています(最高裁昭和30年12月26日判決)。

また、最高裁は、要役地の所有者が、道路の拡幅のために他人にも土地の提供を働きかける一方、自らもその所有土地の一部を提供した場合には、要役地所有者によって通路の開設がなされたといえるとしています(最高裁平成6年12月16日判決)。

以上が、通行をめぐる紛争の話です。そして、不動産に関する問題をひとまずこれで終わりにしようかと思います。

もっとも、不動産に関する問題はこれまで述べてきたことに限られるわけではなく、他にも様々な、時にマニアックな問題も多々あります。

今後も、不動産に関する問題で、みなさまのお役に立てる情報がありましたら、随時ブログでお話していこうかと思っています。

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